近年、「カジノ」という言葉がニュースやSNSで取り上げられることが増えてきました。実際、オンラインカジノを含めた“新しい形の娯楽”が話題になるなか、ついに日本にもリアルで合法的なカジノが登場するという現実が近づいてきています。
それが「大阪IR(統合型リゾート)」構想。2030年の開業を目指して、関西の玄関口、関西万博の会場でもある夢洲(ゆめしま)で着々と準備が進められています。今回の記事では、カジノ設立のメリット・デメリットについてや世界の成功事例についてお届けしていきます。
目次
大阪IRとはいったい何?
まずは、大阪 IRについてサクッとどんなものなのか、おさらいしておきましょう。
まず、「IR」とは“Integrated Resort(統合型リゾート)”の略であり、ホテルや国際会議場、ショッピングモール、レジャー施設などが一体となった巨大観光施設のことです。その中に、一定の条件を満たしたカジノが含まれるのが特徴です。
IRの整備についての流れ
日本では2018年に「IR整備法(特定複合観光施設区域整備法)」が成立し、政府が最大3カ所までIRを認定することに。そして2023年4月、大阪府・市が申請した「大阪IR」が、国によって初めて正式認可されました。
開業予定地と開発運営は?
大阪IRは、大阪市此花区の人工島、夢洲(ゆめしま)の北側、大阪・関西万博会場の隣接地の約49ヘクタールに開業予定。
開発・運営は、米カジノ大手「MGMリゾーツ・インターナショナル」とオリックス株式会社が中心となって進めており、総事業費は当初計画の約1兆800億円から約1900億円増えて、約1兆2700億円となる見込みです。
開業は2030年秋頃の予定で、年間来場者は約2,000万人が見込まれており、経済波及効果は、年間1兆400億円超と試算されています。
カジノ設立のメリット・デメリット
ここではカジノ設立のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット編
大阪IRにカジノができることで期待されるメリットは以下の通りです。
観光客の増加
大阪IR最大のメリットとされているのは、「インバウンド観光客」の増加です。カジノが合法的に楽しめる国はアジアでは限られており、日本でそれが可能となれば、観光地としての魅力がさらに増します。
とくに大阪は、すでにUSJや道頓堀、京都・奈良へのアクセスの良さから人気の観光都市。
雇用創出・経済活性化
大阪IRは、その規模から雇用創出効果は、年9.3万人。そしてIRの雇用者数は約15,000人が見込まれています。建設段階・運営段階の両方で、大阪地域の経済に活力を与えるでしょう。もちろん、地域の中小企業やサービス業との連携が進めば、周辺地域の活性化にも期待できます。
税収増と地域振興
大阪IRが稼働すれば、自治体にはカジノ収益の一部が納税として還元されます。大阪市はこの収益を、教育や医療、防災インフラの整備などに活用する方針を示しています。
デメリット編
ちょっと心配?カジノ導入の課題や懸念などデメリットは以下の通りです。
ギャンブル依存症の懸念
一番大きな課題として挙げられるのが、「ギャンブル依存症」の増加リスクです。実際に国内ではパチンコ等を含むギャンブル依存症の対策が課題となっており、新たなカジノの存在がそれを助長するのではと危惧されています。これに対して大阪IRでは、入場回数の制限(週3回・月10回まで)、日本人・在住者に対しての入場料(6,000円)の徴収、顔認証システムの導入など、抑制策を導入予定です。
治安の悪化や風紀の乱れ
カジノに集まる多額の資金や人の流れが、犯罪の温床になるのではないかという懸念も根強くあります。これに関しても、国と大阪IRは警察や行政と連携した厳格な管理体制を整備するとして、懸念を減らす考えです。
財政リスク・失敗の可能性
事業の総投資額は1兆円以上。これが仮に見込み通りに運営できなかった場合、大きな財政リスクになるという指摘もあります。海外では、うまくいかなかったIR事例も存在するため、楽観視は禁物です。
海外で成功しているIR例
ここでは成功事例をご紹介しましょう。
シンガポール「マリーナベイ・サンズ」
IR成功事例の代表格といえば、やはりシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」です。2010年に開業し、シンガポール政府の観光戦略の要として大きく貢献。わずか数年で初期投資を回収し、現在では年間訪問者数5,000万人超えという驚異の人気ぶりを見せています。厳格なカジノ規制(自国民への高額入場料徴収や立入制限)と観光・ビジネス施設の融合が成功のカギでした。
まとめ
大阪IRは、単なるカジノ施設ではなく、日本の観光・経済を底上げする統合型リゾートとして、巨大な期待を背負っています。もちろん、ギャンブル依存症や治安への懸念といったデメリットも存在しますが、世界の成功事例を見ると「正しく運営すれば、地域と共に発展できる」ことが見て取れます。
最終的には、大阪IRがどのような理念とビジョンで地域と共存していくかにかかっているでしょう。カジノだけに注目するのではなく、大阪という都市全体のポテンシャルを活かした「未来型エンターテインメント都市」としての進化を、私たち自身も見守っていきたいですね。


